勿忘草

自分を花に例えるのなら？

ー わすれなぐさ

そう口にした彼の言葉を聞いた瞬間、愛おしさで胸がいっぱいになって画面越しにひとり、言葉を失ってしまった。

____

花言葉に興味を持ったわたしはふと彼の誕生花を探ったとき、

モミジアオイやシモツケの

「儚くたおやか」「穏和」「美しい」

なんて言葉が出てきてあまりにも彼らしい花言葉になんだか笑ってしまったのを覚えている。花が彼自身をこんなにも的確に表してくれる事があるんだと。

そんな彼は自分のことを「勿忘草」と表した。

ポツポツと控えめに辺りを青く染めるそれは、わたしの誕生月にいちばん綺麗に咲き誇る春の花だった。

彼が生まれた月はだんだん肌寒く気温を変え、葉を鮮やかな暖色で染める秋。

でも、穏やかでたまに頬をピンクに染める彼はまるで春を象徴しているようで。

彼がなぜそれに自分自身を投影したのか本当の理由は分からない。

けれど、暖かい空気に包まれ、繊細に懸命に彩やかに咲くその花はじみんそのもので。

彼のもつ儚さを自分でちゃあんとわかっているんだなあ

なんて考えていたら、無性に気持ちが溢れてしまったんだ。

一生この人には敵わない、でもそれがわたしの心を跳ねさせ、何度も夢中にさせてくれるの。

それに

「私を忘れないで」

なんて、

そんなずるいことはないでしょう。

10がつ13にち、ひとつ大人になった狡くて愛おしい彼が、一段と綺麗な笑顔を咲かせてくれることを願って。

勿忘草 - A forget me not flower